日はまた昇る 2017 3 5
「日本企業の再興を願って」
1980年代は、日本企業の黄金時代だった。
しかし、1995年にインターネットが普及すると、
日本企業は、塗炭の苦しみを味わうことになった。
インターネットの時代においては、
「ものづくり」(manufacturing)よりも、
企画力やアイデアが物を言う時代だからである。
しかし、また日本の時代を迎えようとしている。
「IoT」、つまり「Internet of Things」においては、
あらゆる物がインターネットにつながり、
有機的にネットワークを形成する時代においては、
やはり、「ものづくり」が重要になってくるからである。
しかし、一抹の不安があります。
私は、10年以上前に、
「これからは、スマートフォンの時代である」と書いたところ、
大手の通信事業者は、「今の携帯電話でも十分に多機能であるから、
スマートフォンは必要ない」という反応だったのです。
その後、どうなったのかは、誰もが知る通りです。
あわてて、日本企業がスマートフォンに参入しても、
「周回遅れ」を取り戻すことはできなかったのです。
日本企業は、市場において、
「創造的破壊」が起こる時、その変化に弱いかもしれません。
経済学者のシュンペーターは、次のような言葉を残しています。
「資本主義は、成功ゆえに巨大企業を生み出し、
それが官僚的になって活力を失い、社会主義へ移行していく」
書名 AI革命で日本株は復活する
著者 藤田 勉 幸田 博人 毎日新聞出版
一世を風靡した「アベノミクス」は、
今となっては、色あせてしまいました。
だからこそ、著者は、
「アベノミクス」の主役は、「AI革命」にシフトすべきであると主張しています。
その思いは、「日本企業の再興を願う」ことになるでしょう。
そして、多くの国民から、わかりやすいテーマとなるでしょう。
さて、著者も、「フィンテック」で金融機関の経営が大きく変わると書いていますが、
私は、こう思っています。
ずばり言うならば、「フィンテック革命」は、
ウォール街の終焉を告げるものとなるでしょう。
「ブロックチェーン」で象徴される「フィンテック革命」は、
IT企業による金融業進出を意味しているのです。
「グーグル」が世界最大の金融機関になる可能性を秘めているのです。
後世の人たちは、「ウォール街」は、シリコンバレーにあるものであり、
その前は、ニューヨークにあったことを歴史の教科書で知ることになるかもしれません。
スティーブ・ジョブズ氏に送る言葉は、
「あなたは、シュンペーター経済学の実践者であった」ということです。
シュンペーター経済学の中心概念は、「イノベーション」であり、
イノベーションの実行者を企業者(起業者)と呼びました。
ここでいう「企業者」とは、生産要素を全く新たな組み合わせで結合し、
新たなビジネスを創造する者のことです。
産業革命 2017 2 19
書名 第4次産業革命 日本経済をこう変える
著者 竹中 平蔵 PHPビジネス新書
実は、2017年1月22日に「ビットコイン入門」という文章を書いている時に、
ふと思ったのは、「もしかすると銀行が消えるのではないか」と思ったのです。
ビットコインという「通貨」に注目すると、何も見えてきませんが、
「ブロックチェーン」という新技術に注目すると、
「もはや銀行がいらなくなるのではないのか」と思ったのです。
「ブロックチェーン」とは、別名、「電子記帳システム」だからです。
そう思っていたところ、竹中平蔵氏の「第4次産業革命」という本を読んでみると、
以下のような文章を見つけたのです。
銀行の関係者が、「フィンテック(Fintech)だ」と騒いでいるが、
フィンテックというのは、基本的に銀行がいらなくなる制度だと言える。
(引用、以上)
竹中平蔵氏は、かつて金融行政を担当する大臣だった人です。
その人から、このような発言があるとは、衝撃です。
はたして、銀行は、恐竜のように消え去るのか。
私は、銀行が生き残る方法は、銀行が通貨を発行することだと考えています。
だからこそ、三菱東京UFJ銀行は、
「ブロックチェーン」という新技術を使って、
ビットコインのような新通貨「MUFGコイン」を考えているのかもしれません。
三菱東京UFJ銀行は、自分たちの未来がどうなるかを見通した上に、
生き残るための対策を考え、実行に移しつつあるとしたら、
素晴らしい銀行です。
ただし、三菱東京UFJ銀行が、そういうことをすると、
今度は、「中央銀行」が不要になります。
今、銀行業界は、戦国時代を迎えようとしています。
つまり、室町幕府が崩壊して、徳川家康が天下を平定するまでの「大混乱の時代」です。
このような時代には、波乱がありますので、
三菱東京UFJ銀行が、「徳川家康」になるとは限らないでしょう。
ビッグデータの覇者が、金融業の覇者になる可能性があります。
つまり、グーグルのようなビッグデータを巧みに扱うIT企業が、金融業の覇者になるかもしれません。
通貨とは 2017 1 22
書名 ビットコイン入門
著者 小田 玄紀 インプレス
この本は、小冊子のような大きさで、
電子書籍と印刷書籍を同時発行できる出版方式です。
さて、昔は、「通貨とは何か」を考える時に、
金(Gold)を題材にして考えれば、わかりやすかったと思います。
今は、デジタル・ゴールドと言われるビットコインで考えれば、
通貨に対する考え方が深まるかもしれません。
さらに、ビットコインの登場は、
金融業そのものについても変革を迫るものとなっています。
また、ビットコインを支える「ブロックチェーン」という技術も、
コンピューター業界に変革を迫るものとなっています。
つまり、ビットコインの出現は、
通貨制度や金融業及びコンピューター業界に大きな影響があると思います。
これは、日本風に言えば、
江戸時代の幕末にあった「黒船の来航」とも言えるでしょう。
日本では、2016年5月25日に、改正資金決済法が可決され、
遅くても2017年6月から、
ビットコインは決済手段として法的に認められるようになると言われています。
時間はかかるでしょうが、ビットコインで支払いができる店が増えてくるでしょう。
なぜかというと、店にとっては、
お客がクレジットカードで決済するよりも、
ビットコインで決済する方が、メリットが大きいのです。
お客がクレジットカードで支払った場合、
店は、クレジットカード会社に対して代金の3%から5%程度の手数料を支払います。
ビットコイン決済では、この手数料が、1%程度になります。
これは、高額の商品においては、店にとってはメリットが大きく、
低額の商品においても、大量に販売するならば、販売コストが圧縮できます。
次に、少額の送金にビットコインは役立ちます。
銀行振込では、振込手数料が210円から420円もかかりますが、
ビットコインを使えば、送金の手数料は、ほとんどかかりません。
このようにメリットが多いのですが、
問題は、現行の通貨に対して、ビットコインの価値の変動が激しいのです。
これは、外国為替の外貨のように、外部要因によって、大きく変動するのです。
そういうわけで、ビットコインの値段が下落した時に仕入れておいて、
使いたい時に使うというスタイルになると思います。
これは、「仕入れ」をともなうので、
商売を営んでいる人にはわかりやすいかもしれませんが、
一般の人には、わかりにくいかと思います。